【講演テーマ】

  伝統とは絶えざる革新なり

 国際化を進めていく上で自国の持つ文化的背景を深く理解し、自身のアイデンティティとしての文化的な基盤を持つことが求められている。仏教は、日本の歴史において、神道と融合(神仏融合)の一途をたどったものの、再び分離した歴史を持ち、その風習や習慣、儀礼的行事も地域によりばらつきがある。核家族化や地域社会との人間関係が希薄になりつつある現代において、仏教信仰はわかりにくく敬遠される対象となってきた。仏教という日本の伝統的宗教について、国際化の流れに伴い訪日外国人が増加する中で、造詣がないためにその説明に苦慮する若者も数多く存在する。池口氏は、この点を課題とし、これからを生きる若い世代に日本の歴史に深く関係してきた仏教思想をいかに身近に感じてもらうかについて考え、いくつかの提案を示している先駆者である。

 池口氏は、仏教が持つイメージを現代の文脈に即した形で伝えるため、様々な団体とコラボレーションをしたフェスの開催や、お寺をテーマにしたアイドルグループのプロデュース、3Dプリンターやドローンといった最先端技術を取り入れたイベント等を次々と考案・実践し、新たなコミュニティを創造することで、メディアを含め世間の注目を集めている。その活動は、新奇的であるためにときに批判の対象となるが、これまで寺に足を向けることのなかった多くの若者や外国人を呼び寄せることに成功している。

 「不易流行」とは、本質をしっかりと捉えつつ、時代に合わせて変化させていくことであり、今後の日本社会においても必要不可欠なものである。国際社会が身近となった現在だからこそ、新たな国際的視野の拡大と、人と人とが時間的・空間的につながることへの新たな価値の付与が必要とされる。この講演を通じ、国際社会はもとより地域社会や職域などにおいても、次代を担うにふさわしい行動の伴った青年の育成を可能にし、更なる発展を目指すための糸口を学べると考える。

【講師プロフィール】

浄土宗龍岸寺 住職 池口 龍法 氏

 1980年9月7日兵庫県生まれ。兵庫県尼崎市西明寺に生まれ育ち、京都大学、同大学院ではインドおよびチベットの仏教学を研究。大学院中退後、2005年4月より知恩院に奉職し、現在は編集主幹をつとめる。2009年「フリースタイルな僧侶たち」代表に就任し、フリーマガジンの発行など仏教と出会う縁の創出に取り組む(~2015年3月)。2014年6月より京都市下京区龍岸寺住職として、念仏フェス「十夜祭」「超十夜祭」や浄土系アイドル「てら*ぱるむす」運営などに携わる。著書に『お寺に行こう! 坊主が選んだ「寺」の処方箋』(講談社)、共著に『ともに生きる仏教 お寺の社会活動最前線』(ちくま新書)がある。

主催

内閣府、日本青年国際交流機構、一般財団法人青少年国際交流推進センター

京都府青年国際交流機構

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